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中央アメリカ最大の森林保有国であるニカラグアでも、79年にソモサ政権を倒して政権を握ったサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)に対して、左右のゲリラが入り乱れ、それに米国などが干渉して国内の混乱が続いている。
革命前はソモサ大統領一族が、国土のほぼ半分の可耕地を独り占めしていた。
新政権によってその土地が次々に解放され、開墾が奨励されているが、同時に森林が伐採されて空前の破壊を引き起こしている。
とくに、この国では、370万(89年)国民の大部分がまだ薪をエネルギーとしている。
石油は貴重品で割り当て制である。
社会的混乱に乗じて、手当たり次第に木を伐っては薪として売り払う風潮が広まっている。
また外貨の稼ぎ手、タバコ産業を保護して輸出に力を入れているが、タバコの葉の乾燥はすべて炭に頼っており、このための森林伐採も大規模なものにのぼる。
森林面積も国土の一割を割ってしまった。
この結果、がけ崩れや洪水などの被害もひどくなり、政府は「環境に配慮した開発」のキャンペグアテマラでも血なまぐさい事件が日常化している。
1970年以来、テロの犠牲者は7万人を超えるともいわれる。
人口の11・2パーセントの地主が土地の70パーセントを所有しているという社会の不均衡抜きには、この社会不安を理解できないだろう。
この国でも60年以後、森林面積の65パーセントを失っている。
これにつれて、国土のほぼ全域で土壌侵食が発生し、農地の407年には、この国でただ一カ所残されていた熱帯林のあるサスラャ国立公園を立ち入り禁止に。
しかし、米国の経済制裁による高インフレは収まらず、10年余で倍増する中南米一の高い人口増加率も続いている。
どこまで自然への圧力を減らすことができるか。
正直いって答えが見つからない。
全国的に展開している。
この国も中央アメリカの国々の例にもれず野球が盛んだが、ラジオの実況中継の途中に、「ニカラグア自然資源環境研究所」提供のコマーシャルが入る。
中身は「防風林は砂塵を食い止めるだけでなく、木材や薪にもなります。
皆で大切にしましょう」といった自然保護の勧めだ。
ここでは、また劇画風の『自然を守り、利用する法』といった、啓蒙パンフレットのシリーズなども出している。
薪への依存を減らすために、カナダやイタリアの協力で世界最大級の地熱発電所の建設が進められている。
さらに、焼き畑の停止を訴えるとともに、牧場造成を抑える目的で肉食をへらして、家庭菜園でつくった野菜を多く食べるように国民に訴えている。
軍の食糧の自給自足パーセントが不毛の地と化した。
モタグア川は、かつてはこの国の用水、水運の大動脈だったが、今では水量が半分以下となって、用をなさなくなってきている。
土地を失った農民は、最後に残されたペタン地方のジャングルに入り込んで焼き畑をしているが、この土地はもともと農業には不適で、焼き畑して2年目にはチガャの草原となって何も育たなくなる。
ロメオ・ルーカス大統領は79年を「植林の年」と宣言し、緊急立法を行って、全学生、生徒は年間20本、服役囚は50本の木をそれぞれ植えることを義務づけた。
また、植林に対する減税措置もとったが、政権の交代とともにこの措置も有名無実となってしまった。
このように政情が混乱する中央アメリカで、珍しく安定したコスタリカは、緑の地峡の中央部にあり、かつて国土の90パーセントは熱帯の森林だった。
1502年にこの国を訪れたコロンブスは「天に届くかと思われる何千種もの木々が茂り、ジャングルの中は昼なお薄暗く、太陽の光がほんの少しこぼれるだけだった」と、見事な森林を描写している。
だが、この森林も現在は東と西の海岸地帯に30パーセントほどしか残されていない。
それでも、この熱帯林は動植物の種類の豊かなことでは世界でも指折りである。
北米を上回る758種の鳥類が棲み、少なくとも1000種のランを含む8000種以上の植物が記載されている。
ここには日本からも技術協力で花弁栽培の専門家を派遣しているが、「はげ山ばかりで落ち葉や腐植土が手に入らず、製材所のオガ屑で問に合わせた」というほどに身辺からは緑がなくなっている。
歴史的に見れば、焼き畑農業や薪集めの伐採が森林破壊の主要原因だったことは間違いない。
どんな専門家にたずねても、中央アメリカの緑は絶望的だという。
最大の問題は、人口爆発である。
中央アメリカ8カ国の農村人口は約4000万人(89年)。
これが2015年には、8000万人を超えると予想される。
この増加分の4000万人が入り込める場所は、都市のスラムと熱帯林、あるいは耕せば表土の流失を起こすと分かつている山の斜面しかない。
その上、国連の調査によると、人口の一割弱の地主が9割以上の土地を所有している。
革命政権が農地解放を実施したニカラグアなどを除いては、大部分の国で一部特権階級による極端な土地の寡占体制が続いているのだ。
大農場の不在地主やそこで働く小作人に土地への愛着を期待するのは無理な話で、土地の規模が大きくなるほど土壌の保全も周辺の森林の保護も手抜きになりがちだ。
これが、大土地所有が進むほど環境破壊が進行する理由でもある。
だが近年、伐採面積が加速度的に進んできたのは、肉牛飼育用の牧場の拡大のためである。
ここでも最近の急速な森林の荒廃で、干ばつの被害が目立っている。
牧畜の中心であるグァナカステ県などでは、雨が不足すると干ばつ、降り過ぎると洪水という典型的な森林破壊による災害が年を追ってひどくなってきた。
多くの牛が餓死したり、やせ衰えて売り物にならなくなって、政府も熱帯林の保護や植林推進のキャンペーンを始めた。
ノーベル平和賞を受賞したアリァス大統領がその先頭に立っている。
そして、この大土地所有体制が自動的に熱帯林を消滅させていくという経済構造ができ上がって茂しまった。
熱帯林の保護運動を展開している欧米の活動家は、これを「ハンバーガー・コネクション」と呼ぶ。
中央アメリカがいつの間にか、欧米侭向け牛肉の一大生産地となり、その牧場造成のために、熱帯林の大規模な破壊に拍車がかかっているという意味である。
サンフランシスコ、ニューヨ−クなどのハンバーグ・レストランなどの前に、自然保護運動の活動家が座り込んで「ハンバーグの一口は熱帯林の一本をかじること」といったプラカードを掲げているのを最近よく目撃するようきになった。
これらの国々を訪ねてみると、政府の主導で、ときには国際機関の融資や援助で牧場造成のラッシュだ。
そして、熱帯林の破壊が次のような段階を経て進んで行くのがよく分かる。
まず最初に、熱帯林に入り込んでくるのは、木材の伐採者だ。
ブルドーザーで木を押し倒してジャングルの中に道を切り開き、マホガニー、熱帯スギなど高価な樹種を伐採する。
この破壊が量的には大したものでなくても、これによって人を寄せつけなかったジャングルに入り込む道が縦横に開けることになる。
この道を伝って、土地なき農民がどっと繰り込んでくる。
森林を焼き、サトウキビ、バナナ、ヤシ、コメなどを栽培するが、条件がよくても3〜4年も耕すと、雨期の豪雨で表土が流されて不毛化し、病虫害が増えてきて作物は育たなくなる。
すると、牧場主による焼き畑跡地の買い占めが始まる。
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